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校長室より

第17回卒業証書授与式 式辞
2022年03月07日

 厳しい寒さも和らぎはじめ、気が付くと花の蕾が少しずつ大きくなり始めました。この佳き日に、竹田市教育委員会様及びPTA会長様のご臨席と多くの保護者の皆様のご列席をいただき、令和3年度第17回竹田市立竹田南部中学校卒業証書授与式をこのように盛大に執り行うことができますことに、卒業生と共に心より御礼を申し上げます。

 さて、卒業生の皆さん、一人一人が卒業証書を受け取り、いま、中学校3年間の課程が修了いたしました。ご卒業おめでとうございます。皆さんの学校生活を思い返せば、スポーツや学習の場面で頑張る姿、生徒会活動などで活躍する姿、そして何よりも一人一人の笑顔が浮かんできます。皆さんが本校のリーダーとして、思いやる心や前向きな姿勢を前面に示して全校の雰囲気を創り上げてくれたおかげで、竹田南部中学校はこの一年間、着実に成果を上げることができました。

 例えば、私が校門下で朝の交通指導に立っているとき、皆さんの方から一旦立ち止まってきちんと挨拶をしてくれたり、「いつもありがとうございます」と言葉をもらったりすることが頻繁にありました。先輩の挨拶をお手本に、実に気持ちのいい挨拶をしてくれる後輩たちが確実に増えています。また、仲間づくり活動では、皆さんの温かい人柄に多くの後輩たちは包み込まれ、安心して活動に参加できました。今や、竹田南部中学校の仲間づくり活動は、県下の小学校、中学校、そして高校のお手本として紹介されるまでになりました。

 そして、この3年生といえば、何と言っても「防災学習」が印象的です。修学旅行で訪れた天ヶ瀬水害の爪痕と、復興を目指して奮闘している人たちの姿に、皆さんは心を大きく揺さぶられたことでしょう。修学旅行を皮切りに、さらに深めていった防災学習では、多くのゲストティーチャーから災害に向けた備えや避難方法、ボランティア活動など様々なことを学び、竹田水害の実態を調べて文化祭の発表につないでいきました。今日は、その防災学習の集大成として、東日本大震災に遭遇したAさんのお話しを、この場を借りて紹介したいと思います。

 Aさんは、今から11年前の3月11日、ちょうどそのときは羽田空港にいました。突然、大きく長い揺れが起こり、津波警報が出されたために空港は閉鎖されることになりました。そのとき、空港内には大勢の人がおり、あまりの多さで身動きが取れなくなりました。自分のスペースは自分の身体とスーツケースの分だけでした。そのうちに電気が消え、暖房も切れます。何時間もその状態で過ごしていましたが、夜になって、やっと弁当が配られることになりました。しかし、誰も動こうとしません。いえ、動けなかったのです。周りには見知らぬ人ばかり。荷物もあります。藤井さんは「おなかがすいたなあ」と思いつつもしばらくそのままでいましたが、「みんなもきっと同じだろう」と思い、勇気を出して周りの人に声をかけてみたのです。「私はこういう者です。どうも私がこの中でいちばん年上のようです。私が責任を持って皆さんの荷物を守っているから、弁当をもらってきてもらえないだろうか。」と。それを聞いた周りの3人ほどが、藤井さんに荷物を見てもらって弁当を取りに動き始めようとしました。すると混み合った中にもかかわらず、人々が隙間を作ってくれました。さらに、それを見ていた他の人たちも同じように話し合い、荷物を守る人、弁当を取りに行く人に別れて、スムーズに食事ができたそうです。毛布を配るときも同じでした。朝になり、毛布の回収もきちんとたたんで元に戻していきます。あの震災時に、世界中の人々を驚かせた日本人のマナーの良さ、冷静さが羽田空港でも見られたのです。藤井さんは後に「この行動は、学校の中でで学んだことだと思った」と振り返っていました。災害などの非常時こそ、人間性や協調性が大切なのです。

 今、中学校を巣立とうとしている皆さんも、この学校で「仲間をつくる」活動を体験し、実践できています。周りの人のことを考え、仲間をつくることができる素地が皆さんの中に息づいているのです。どうか皆さん、たとえどのような難題が立ち塞がっても、すばらしいその感性を活かしながら、自信を持って前向きに進み続ける皆さんであってほしいと願っています。皆さんに心からエールを送ります。

 

 終わりになりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。また、これまで、本校の教育活動と、加えてコロナ禍の想定外の対応に対しましてご理解とご協力を賜りましたことに深く感謝申し上げます。中学校の3年間は、多感な時期で悩みも多く、心配の種は尽きなかったことと思います。けれども子供たちはこのように立派に成長しました。それゆえに皆様の感慨も一入のことと存じます。今後は地域や社会の中で、自立していく子供たちを、見守り支えてくださいますよう、お願い申し上げます。

 

 それでは、名残は尽きませんが、卒業生の皆さんの前途に幸多かれとお祈りして式辞といたします。

 

令和4年3月4日                       竹田市立竹田南部中学校 校長 渡 邊 文 也